耳鼻咽喉科とインフルエンザ

もしも「インフルエンザかもしれない」と感じるほどの症状が現れた場合、あなたは病院のどの診療科目を頼りますか?
一般的に内科、もしくは耳鼻咽喉科ですよね。
とくに喉が痛かったり鼻水がひどかったりすると、耳鼻咽喉科を選ぶ人が多いでしょう。
もちろん、インフルエンザの疑いがあり、そのような症状が現れているならば、耳鼻咽喉科の医師に診てもらうのが賢明です。
会社や学校の関係で診断書が必要になることもありますので、そういった場合には迷わず病院に駆け込むべきでしょう。

しかし病院に行く前に一つ頭に入れておきたいことがあります。
それは「インフルエンザであっても薬は治りを早くする効果はありますが、完治については自分の免疫力で治す病気である」ということです。
インフルエンザは重症化のリスクが高い患者層が存在するので「治療」する病気だと思われがちですが、それは少し間違った認識であると言えるでしょう。
インフルエンザは発熱した際に通常の風邪よりも高温になることが多く、それに伴う諸症状も重くなりがちです。
咳や鼻水、くしゃみ、頭痛などなど、さまざまな症状が現れますよね。
このような重い症状が発症するので、インフルエンザは通常の風邪とは別扱いされることが多くなります。

しかし厳密に言うと、インフルエンザと言うのはあくまでも風邪の一種なのです。
ウイルスに感染することで発症する上気道感染症が、一般的に風邪と定義されています。
インフルエンザもまさにウイルス性の上気道感染症ですよね。
インフルエンザ脳症などのように重症化して上気道意外に感染が広がってしまった場合には別の病気であるといえます。
ただしインフルエンザ以外の一般的な風邪であっても、重症化した場合は別の病名に変わりますので同じことなのです。

そして風邪と言う病気は、体の自己治癒力によってしか治すことができない病気です。
投薬はあくまでも細菌感染を疑っての抗生剤だったり、重くてつらい症状を緩和するための解熱剤だったりで、治癒効果はありません。
直接的な治療は自分の体に任せるしかないのです。

つまり、インフルエンザで耳鼻咽喉科に通う際には、「インフルエンザである」という診断をもらうことをまずは第一の目的とするべきなのです。
もちろん症状が重すぎて辛い場合には解熱剤を処方してもらうのも良いですが、発熱は体がウイルスと闘っている証拠なので、症状は長引くことになります。
抗生剤もインフルエンザに対する直接的な効果はほとんど見込めません。
風邪に対する抗生剤の使用は抗体細菌を生み出す可能性があり、厚生労働省も警笛を鳴らしているのです。
そのような知識を持ったうえで通院すれば、医師が誠実な診療を行ってくれているのかの判断がしやすくなりますよね。